情報提供をする時の注意点

医薬品は正しい使い方をしてこそ効果があるものです。特に副作用や使用上の注意はわかりやすくアドバイスしましょう。

副作用や使用上の注意・制限は「理由」とともに説明する

登録販売者が行う「情報提供」とは、効能や副作用等を含めた商品の特徴、使用上の注意、養生法などを説明することです。

お客様から問い合わせがあった時はもちろん、特に質問がない場合でも説明するのが原則とされています。医薬品の販売では、メリットだけでなくデメリットも伝えないといけません。推売品やPB商品を売る場合も効能だけを説明せずに、副作用や薬を使用しても効果がなかった場合の対処法、長期連用のリスクなどもきちんと伝えるのが基本です。

新人の中には「何かあったら・・・・・」という不安からリスクばかりを強調してしまう人もいますが、商品知識が身についてくると、効能もリスクも過不足なく伝えられるようになるでしょう。また、使用感や飲みすぎなどに関する第三者の意見も、購入の参考になります。おすすめする商品が自分も使用したことのあるものなら率直な感想を伝えたり、他のお客様からの評判などを紹介したりするのもよいでしょう。そうした話題によって、お客様との会話がしやすくなることもあります。

専門家として情報を提供する際には、その「理由」もしっかり説明できるようにしておくことも大事です。15歳未満は服用できない、授乳中の人は服用を避けるなど、使用上の注意で制限がある商品もありますが、なぜ制限されるのかについても理解しておきましょう。ここでも知識の丸暗記ではなく理解が求められます。

そして、登録販売者は病名を診断するような行為や発言をしてはいけないという点も肝に銘じておくことが必要です。症状から判断して商品を選択する過程でいろいろな病名が頭に浮かびますが、それは推測でしかなく、医師の判断がなければ病名の確定はできません。受診をすすめる場合、お客様にある程度具体的に説明しないとその必要性を納得してもらえないことも多いので、伝え方の工夫も必要です。

また、情報提供を行う機会が多い内容は手帳やノートに整理しておくとよいでしょう。とくに、お客様から「購入時に教えてほしかった」などのクレームがあったものは、スタッフ全員で共有しておくと次回以降のクレーム防止になりますのでしっかりと情報の整理を行うことも必要です。

登録販売者としてトリアージと受診勧奨はどうするか?

登録販売者が、接客において避けては通れないトリアージと受診勧奨。自身を持って判断するためには、病態や治療に関する知識が欠かせません。

「いつもと違う感じ」が有効な判断材料料に

災害・事故や救急医療などの現場で、重症度によって治療の順番を決めることを意味する「トリアージ」という言葉を聞いたことがあるかと思います。登録販売者の仕事でも、来店客が訴える症状が、市販薬で対応可能かどうかを判断するトリアージを行います。

まれですが、市販薬で対応できないような重い症状の人が来店することは実際にあります。原因不明の頭痛や腹痛、しびれ、高熱、下痢、嘔吐などは判断が難しく、時には命に関わることもあるため、店頭では慎重な対応が求められます。

重篤な状態かどうかを判断するための例として「いつもと違う感じはありませんか?」という質問です。いつもの風邪と症状が違う。いつもより治りが遅く薬が効かないなど、重篤な事例では本人が直観的に違和感を覚えることが多いからです。

トリアージの結果、市販薬で対応できるケースなら比較的スムーズですが、難しいのは市販薬では対応できない症状や、医師の治療が必要な事例です。

その場合、受診勧奨をしますが、素直に応じてもらえないケースが少なくありません。急性の異変は本人もつらいため応じてもらいやすいですが、日常生活に大きな支障が出ていない症状では、市販薬による対応を希望される場合が多いのです。「病院へ行けないからここへ来たんじゃないか!」と怒る人もいて、納得してもらえないこともあります。

そんな時は、なぜ市販薬では対応できないのか、市販薬を使用し続けることによるリスク、病院を受診するとどんな治療や投薬がなされて、どんな効果が得られるのか、(あくまでも一般論として)などを説明して、受診のメリットを伝えます。明確な理由がないと、「受診する」という行動につながりにくいのです。

「自分ならどんな説明をされたら納得するか?」と、相手の立場になって考えてみましょう。医療用医薬品については登録販売者の試験勉強でも学びませんし、店頭で情報提供することもできません。しかし、病院で行われる治療法や治療薬についてもある程度知識がないと、受診勧奨する「ライン」がわからないのも事実です。店頭での相談が多い事例については、知っておいた方が良いでしょう。

正しい接客の手順とコミュニケーション能力

接客が不安という人は、必要な段階をふんでいない可能性があります。症状の把握から商品選び、使用のアドバイスまでの流れを確認しましょう。

店頭での接客フローを組み立てよう

登録販売者は、医師のように病気の診断はできませんが、皮膚炎や火傷の傷を店頭で見せられて「これに効く薬をください」などとお客様に言われることはよくあります。登録販売者としては、その権限を越えない範囲で、症状に適した商品を選び、情報提供を行なわなければなりません。

新人時代は、接客のたびに緊張することでしょう。そんな時、接客フローが身についていると、お客様の話を聴くことに意識を集中できます。接客フローとは、「症状の聴き取り」から「商品の選択・提案」までの流れです。

医薬品を求めて来店する人は、何らかの症状を緩和・解消するのが目的ですから、まず具体的な症状を聴くことから接客が始まります。次に、聴き取った症状から病態を判断し、剤型や作用についての要望(錠剤がいい、眠くなりにくいものがいいなど)やアレルギーの有無などをふまえて、適した商品を選択・提案し、お客様に判断してもらいます。さらに、その薬の使い方や養生法のアドバイスも行います。

この過程で最も重要なのが「症状の聴き取り」ですが、病態の判断に必要な情報を不足なく伝えてくれるお客様ばかりではありません。そのため、登録販売者から適切な質問をしていく必要があります。新人の頃は「何をどのように質問すればよいのか?」と、頭を悩ませることでしょう。先輩の登録販売者の対応を見て学んだり、自身の接客経験を積み重ねることでしか、スキルアップできない部分もあります。商品や病態に関する知識量も大きく影響するので、コツコツ勉強し続けることも必要です。

また、短いやり取りの中で、適切な答えを導き出すためには、コミュニケーション能力も必須です。挨拶や言葉遣い、笑顔など、接客業として求められる基本的なスキルも身につけましょう。

登録販売者のスキルアップに必要なフォロー体制

登録販売者のスキルアップに必要なフォロー体制づくり

薬種商の実務経験とは

登録販売者として働いていく上で、資格の歴史のようなものも知っておく必要があると思います。2009年にスタートした登録販売者制度は、「新しい資格」と認識されて人も多いですが、実はだいぶ前(なんと明治時代)からその前身資格が存在していました。

「薬種商販売業(薬種商))」というものです。旧薬事法によって定められた資格で、改正薬事法で登録販売者資格が新設されるとともに、薬種商は登録販売者へと移行されました。

薬種商の試験は登録販売者よりも難易度が高く、薬事関係法規、日本薬局方、生薬、化学、薬理学、解剖整理学、公衆衛生などの筆記試験と、実物の医薬品を用いた実物鑑定試験がありました。

また、受験前に3年以上の実経験が必要でしたから、合格時にはプロとして必要な知識とスキルが身につく仕組みがあったと思います。

登録販売者制度の実務経験

しかし、登録販売者試験では、実物鑑定試験が廃止され、薬理学や化学などの専門的な問題も大幅に省略され、難易度が下がりました。また、受験資格の実務経験についても緩和され、2015年の試験からはドラッグストア等での販売経験が一切なくても、誰でも受験できるようになっています。

前述のとおり、実務経験がない場合は、合格後に24か月の業務経験を積まなければ正式に登録販売者にはなれず、その間は「研修中」という扱い、つまり、実務の経験は受験前でも合格後でもよくなったということです。

この登録販売者制度ができる際にも「実務経験」は大きな議論となっていました。厚生労働省も当初から「医薬品を扱う資格に実務経験は必須である」という方針のもと、2007年に開催された「登録販売者試験実施ガイドライン作成検討会」において、「受験資格から実務経験を撤廃することは困難」と述べていました。結果的に、薬種商販売業では3年以上必要だった実務経験が1年に短縮される形で残りましたが、それにより資格者の質が低下することは当初から危惧されていました。

2015年以降は、試験合格後に業務経験を積む「研修中の登録販売者」の数が一気に増え、それに比例して店頭での「実務の壁」に直面する新人さんも増えました。また、新人の数が増えれば、その人たちを指導する人も必要になります。「自分もまだ実務に自信がないのに、研修中の後輩を指導しなければならない」という登録販売者の声も少なからず耳にするようになりました。

登録販売者の資格は、単に「薬を売れる免許」ではなく、「市販薬の専門家」です。実務経験によるスキルアップが非常に重要で、机上の勉強だけで仕事をこなすのは困難です。

特に、医薬品は人の健康に関わるものですから、それだけ責任も重くなります。できれば、「研修中」の期間に、職場での研修や勉強会で商品や病態の知識を身につけたいところですが、実際にはそうしたサポートがないまま仕事に従事しているケースが大半、人件費を抑えるために、必要最低限の実務経験を満たしただけで、1人で売り場を任されてしまうなど、ベテランの仕事ぶりを間近で見て手本にできる機会が少ないことも、新人さんのつまずきの一因となっているようです。

登録販売者実務経験の必要性と重要性

登録販売者制度のスタート後は、試験に合格すればそれでいいという雰囲気が少なからず蔓延していて、登録販売者自身も雇う側の企業も、合格後のスキルアップに非常に消極的でした。しかし、資格誕生から10年以上が経過し、資格者は「量から質」の時代に突入しています。

試験に合格しただけでは通用しないことを、多くの登録販売者が身をもって実感し、変化が起こりつつあります。新人教育に熱心な企業もでてきていますが、多くの場合、合格後のスキルアップは登録販売者個人の努力に任されています。「もっと接客をしたい」「実務経験をちゃんと積みたい」と望む資格者に応えられる、企業側の環境作りが今後の課題といえるでしょう

合格後のスキルアップができる職場かどうかは、企業としても良い人材を確保するための重要なポイントになってくるのではないでしょうか。

登録販売者は店舗の客層を把握する!

店舗の客層を把握する!

客層によって売れ筋商品、忙しい時間帯、求められる接客のタイプなど変わっていきます。自分の勤める店の特徴をつかみましょう。

客層が変われば、仕事の勘所がわかる

取り扱い商品をある程度把握出来たら、次は店舗の客層を観察してみましょう。住宅街、オフィス街、駅前、ショッピングモール内のテナント、スーパーやホームセンター内の薬コーナー、立地や規模などによって、客層はそれぞれ異なります。

新型コロナウィルスの感染拡大以前は、お客様が爆買いをする外国人ばかりという店舗もあったでしょう。また、同じ店でも午前中と夕方や夜など、時間帯で客層が変わる場合をあります。

繁華街の薬局・薬店なら男性客の割合が多かったり、栄養ドリンクや精力剤、二日酔い関連の薬などがよく売れたりします。住宅街にある店舗やスーパー内の薬コーナーでは主婦や高齢者のお客様が多くなり、売れる医薬品の幅も広がります。また、店舗の近くに総合病院やクリニックなどがあると、病院で処方された薬(医療用医薬品)に関する質問をお客様から受けたり、持病のある人の来店が増えたりもします。

オフィス街や駅ナカの店舗等は急いでいるお客様が多く、じっくり相談するよりも早く買い物をすませたいという雰囲気。逆に、住宅街の店舗やスーパー内の売り場では、病気に関する質問の他に、子育てや介護に関する悩み、日常生活の中で起こる体の不具合など相談内容が多岐にわたり、お客様1人あたりの対応時間が長くなる傾向があります。

素早く対応したり、じっくり向き合ったりと、接客のスタイルも変わります。

ドラッグストアなどは薬を買う目的で来店するお客様が中心ですが、スーパーやホームセンターでは買い物の「ついでに」薬も買うという人が多く、売れる商品の傾向も異なります。

自店で人気のある商品を把握しておくと、発注や陳列の業務で役立ちます。また、商品知識を身につける優先順位の目安にもなります。「売れる商品」は、レジ業務や納品・発注作業に携わる際に意識することで自然と見えてくるものです。

自店の売れ筋商品を把握する方法 

①納品発注作業で・・・

・納品量が多い、発注の頻度が高い商品は、それだけ売れている(その地域で人気がある)証拠

・会社から大量に納品される商品は、販売に力を入れなければならない商品(商品名)であるケースがほとんど

・テレビ等のメディアで紹介された商品が爆発的に売れると、発注しても入荷しなくなることもある

②品出し、陳列作業で・・・

・棚の上段(お客様の目の高さ)にある商品や売り場面積を広くとっている商品は、売れ筋商品や会社が販売に力を入れている商品(優先的に学習すべき商品)

・中には、棚の下段にあっても回転の速い商品もある

・品出しや陳列作業をしていると、商品の配置や商品名を覚えられ、お客様からの問い合わせに素早く対応できるようになる

登録販売者になってまずやるこは

店舗にある商品を覚える

知識の習得は、「すぐに役立つものから覚える」が基本です。対象が絞られるので、闇雲に勉強するよりずっと効率が良くなります。

店舗の商品知識は、今すぐ役立つ知識

登録販売者の新人時代は、薬や病気に関する基礎知識が少なく、あれもこれも覚えなければと焦ってしまいますが、最初にやるべきことは「店舗で扱っている商品の把握」です。

たとえば、喘息の咳に効く咳止め薬の取り扱いがない店舗ならば、喘息の人が咳止めを買いにきても、すすめられる商品がありません。対応としては、他店の紹介か医療機関の受診勧奨となるでしょう。

また、薬剤師いる店舗なら第1類医薬品を取り扱えますが、登録販売者のみの店舗なら販売できるのは第2類・第3類医薬品となり、品揃えが変わってきます。つまり、自分が働く店舗の商品ラインナップによって、お客様への対応がある程度決まるということです。

また、風邪薬や解熱剤鎮痛薬など種類が多い医薬品も、1つの店舗ですべてのメーカーの商品を揃えていることはまずありません。お客様から受ける質問では「〇〇は置いてますか?」「〇〇はどこの棚にありますか?」など、具体的な商品名で聞かれることがとても多いので、自店の取り扱い商品を覚えておくだけでも対応がスムーズになるでしょう。

商品に関する質問は、効能・効果や規格、剤型、価格など多岐にわたるので、それらもおおよそ頭に入れておきたいところです。

ときには、店舗にない商品についてたずねられたりもします。自店の商品を把握したうえで、取り扱いのない商品についても覚えておくと、商品の有無を答えるだけでなく、同様の効果を持つ他の商品を提案して販売することもできるでしょう。

実務経験が乏しい登録販売者になりたての時は、商品の名称すら知らないということも多々あります。試験に出題されるのは医薬品の成分名ですが、お客様は商品名で聞いてくるので、「言われても何の薬かわからない」「薬なのかサプリメントなのかもわからない」ということも珍しくありません。薬のアイテム数は非常に多く、各メーカーから同じような効能・効果の製品が出ています。

特に複雑な名前が多い皮膚病薬や、「パブロン」シリーズのように似た名前の商品が多いものなどもあり、覚えるのはとても大変です。とはいえ、商品を知らないことには接客ができませんから、頑張って覚えましょう。

 

医薬品の覚え方のコツは「分類」

医薬品は、商品名や主成分など覚えることがたくさんあるため、自分なりに分類・整理すると理解が深まります。実務役立つ分類方法としては、①主成分別、②服用可能な年齢別、③適した症状別などが挙げられるでしょう。

たとえば、風邪薬の「パブロン」シリーズなら、胃への負担が少ないアセトアミノフェンが主成分のものと、のどの痛みや発熱への効果が高いイブプロフェンが主成分のものに分けられます。

また、医薬品には、大人(15歳以上)しか飲めないものと、小児から大人まで飲めるファミリー向けの商品があります。「家族で飲める商品が欲しい」「職場や家庭での常備薬としておいて置きたい」などの要望がたまにあるので、まる年齢に関係なく飲める薬から覚えておくと良いでしょう。

適した症状別に分類するのも、非常に実践てきです。市販薬の「効能・効果」にはたくさんの症状が記載されていますが、基本的には一番効果の高い症状が最初に記載されています。

本来は、配合成分を1つずつ理解したうえで、適した症状を判断することが望ましいのですが、最初はこのように大まかに覚えて、徐々に理解を深めていくとよいと思います。

試験勉強の知識だけじゃ足りない?

登録販売者試験勉強の知識だけじゃ実務は足りない!

「ちゃんと勉強して合格したのに、現場ではわからないことだらけ!」という新人登録販売者は多いはず。ただそれには理由があります。

 

現場で必要知識は試験に出てこない

登録販売者試験は、厚生労働省による「試験問題の作成に関する手引き」(以下、「手引き」から出題されます。「手引き」の内容は、薬害の歴史や医薬品の作用、人体の仕組み、薬事関連法規など、市販薬を販売管理するうえで必要な知識ですが、どれも基礎的なもので、現場で求められるすべてを網羅しているわけではありません。もちろん、試験勉強で得る知識は重要です。とくに「手引き」の第2章にある「人体の働き」は丸暗記ではなく、自身の体に当てはめて考えながら理解しておく必要があります。

登録販売者試験は、その前身の薬種商試験と比べて易しくなりました。たとえば、薬理学や人体の仕組みは、現行試験ではほぼ導入部分しか学びません。そして、合格後の実務で必要になる知識は、実は試験にほとんど出てこないのです。試験勉強では、薬とは何か、薬が人の体内でどう作用するのか、どんな副作用や注意事項があるのかなどの基礎を学びます。その上で、店頭業務で必要となるのが「商品知識」と「病態の知識」なのです。

病態の知識は試験でもほんの少し出てきますが、実際に販売されている商品の知識は試験には出てきません。試験合格後は、ゴールではなく通過点。

テキストの内容の「暗記」ではなく、深く「理解」しながら学習を進めことが大事です。これから登録販売者試験を受験するという人は、是非合格後のことも視野に入れて試験勉強を進めて下さい。また、資格試験を丸暗記で乗り切ってしまったという人は、使用したテキストを読み直すなどして、知識の定着を図りましょう。

また、登録販売者が扱うのは市販薬であるにもかかわらず、現場では医療用医薬品や病気の治療・予防等に関する相談も多く、市販薬の知識だけでは十分に対応できないのが実情です。現在の試験では医療用医薬品や薬理学、病態生理などの専門知識はカバーされておらず、受験前の実務経験なしに合格した人は、店頭で初めてこの仕事の難しさに直面しているかもしれません。

超高齢化や医療費増加が加速する日本においては、セルフメディケーションの重要性が叫ばれ、市販薬を販売する店舗は消費者に最も近い医療機関として機能していくと予想されます。そこで働く登録販売者は、消費者に最も近い医療従事者ですから、資格者としてのプロ意識や、自らのクオリティを維持するための生涯学習が欠かせません。

登録販売者試験の出題範囲(出題数と試験時間)

●試験内容:試験問題作成に関する手引き(平成30年3月)より

登録販売者試験問題は、厚生労働省が作成している【試験問題作成に関する手引き】より出題されています。

試 験 項 目 出題数 試験時間
①医薬品に共通する特性と基本的な知識 20問 40分
②人体の働きと医薬品 20問 40分
③主な医薬品とその作用 40問 80分
④薬事関係法規・制度 20問 40分
⑤医薬品の適正使用・安全対策 20問 40分
合     計 120問 240分

登録販売者試験通信講座を活用して一発合格を目指そう!!!より参照

登録販売者と他職種との連携

登録販売者は他職種との連携が欠かせない

勤務する店舗の形態によって多少変わりますが、登録販売者は様々な職種のスタッフと一緒に仕事をします。

他の専門職と仕事をフォローし合う。

一口にドラッグストアといっても、店舗に勤務するスタッフの構成はさまざま、調剤薬局の店舗なら薬剤師が常駐し、医療事務員などもいるでしょう。

首都圏や都市部では、一般用医薬品のみを扱う店舗にも薬剤師が常駐するケースを見かけますが、地方では登録販売者と一般の従業員だけで運営する店が大多数です。大手チェーンでも、登録販売者のみで医薬品の販売を行っている店舗がたくさんあります。

一般的なドラッグストアでは、1店舗に登録販売者が3~4人というのが平均的な人数です。大手では、店舗スタッフのほとんどが登録販売者というところも稀にあります。

その他に、化粧品のスタッフ(ビューティーアドバイザー)や、一般のアルバイトスタッフ、レジ係などがいて、店の規模にもよりますが、15~25人ほどで1つの店舗を回しています。一般のスタッフの中には、栄養士やホームヘルパー(訪問介護員)、医療福祉分野の有資格者や経験者がいたり、特に資格を持っていなくても健康分野に関心のある人が勤務していたりすることが多いです。

店長が登録販売者という店は多いですが、店舗の責任者が必ずしもこの資格持っているとは限りません。また、夕方以降になると学生のアルバイトが加わったりと、幅広い職種や年齢層の人と一緒に働くのもこの仕事の特徴の1つかもしれません。

実際の店舗業務では、お客様から自分の専門分野以外の問い合わせを受けたり、他の職種の仕事を互いにフォローし合ったりする場面も出てきます。

スーパーやホームセンターでは、レジ係や食品・日用品売り場の担当者、惣菜などの調理スタッフなど、さらに多様な職種とともに働きます。登録販売者以外のスタッフは薬のことをほとんど知らないというケースも珍しくなく、その場合、市販薬の販売に関する責任も大きくなります。

まが、ドラッグストアでは、製薬会社の営業担当者(MR)が時々来店し、新商品の資料やサンプルなどをもらえたり、商品について不明な点を直接質問できたりしますが、スーパーやホームセンター内の売り場ではMRとの交流も少ない印象を受けます。そのぶん、独学によるスキルアップやモチベーション維持の重要性が増すといえるでしょう。

登録販売者の職場と、ともに働く他職種

調剤薬局併設の
ドラッグストア
・基本的に薬剤師が常駐しているので、医療用医薬品との飲み合わせなどのアドバイスが得られる。
・薬剤師が調剤だけを担当して市販薬販売には携わらない方針の店では、仕事上の連携がない場合もある。
一般的な
ドラッグストア
・薬剤師はおらず、登録販売者のみで一般用医薬品の販売を行う店舗が多い。
・ビューティーアドバイザー、一般スタッフなどとともに、それぞれの業務をしながら、レジや品出しなどは連携して行う。
・栄養士やヘルパー資格を持つスタッフがいる場合もある。
スーパーや
ホームセンターの
薬売り場
・登録販売者以外に薬のことがわかるスタッフがいない場合がほとんどである。
・法的に問題のある商品レイアウト(指定第2類医薬品を、情報提供を行なうための設備から7m以内の範囲に陳列していない)などを、登録販売者のスタッフが店舗の責任者に指摘することもある。
・薬売り場以外の業務につく時間帯も多い。
大型の店舗 ・取り扱う商品の量が多いので、早朝から開店前の時間帯だけ勤務する品出し専門のスタッフ、レジ業務のみを行うスタッフ(レジ係)がいる場合が多い。
・店舗の管理者になることができる(管理者でない場合は管理代行者となる)

管理者要件と実務期間とは

「実務期間」の要件は要注意です。

実務(業務)経験の規定には、従事した期間や時間などの要件があります。勤務先のシフトや休職期間なども関わるので、自身の状況を確認するようにしましょう。

実務(業務)経験期間を満たさないと「研修中」のまま

管理者要件を満たす登録販売者(研修中ではない)として勤務するためには、実務経験(もしくは業務経験)条件を常にクリアし続ける必要があります。

2015年以前は、受験前の実務経験条件を満たしていれば、合格後は正規の登録販売者としてずっと働くことができました。しかし、現行の制度では、医薬品販売管理者に従事していた期間によっては「研修中の登録販売者」に戻ってしまうこともあります。

ただし、2015年3月31日までに合格した登録販売者には、「2021年8月1日までは、過去5年以内の業務経験が24か月に満たなくても「管理者要件を満たす登録販売者」とみなす」という経過措置が適用されています。2021年8月2日以降は、経過措置対象の資格者も含めたすべての登録販売者に、以下の管理者要件の実務・業務経験が適用されます。

・薬事業務に従事する期間:過去5年以内に通算2年(24か月)以上

・薬事業務に従事する時間:過去5年以内に合計1920時間以上

2020年3月27日までは、薬事業務に従事する時間は「ひと月80時間以上」という縛りがありましたが、現在はなくなっています。つまり、業務に従事した期間が過去5年以内に24か月以上あり、累計1920時間以上あれば、管理者要件を満たす実務・業務経験とみなされます。

たとえば、薬事業務に従事した業務が1カ月32時間だった場合は、5年(60か月)1920時間ですから、要件を満たします。月160時間(1日8時間×20日)の実務経験があった場合も12か月で1920時間に到達しますが、「24か月以上」という要件を満たさないので「研修中」のままとなります。なお、登録販売者(研修中含む)として業務に従事した期間と、一般従事者として実務に従事した期間は合算可能です。

「実務(業務)経験」のルールがよくわからない・・・

正規の登録販売者となってからも、業務内容や休職期間によっては、要件を満たさなくなる場合も。業務に従事した時間数は、自身でも管理するようにしましょう。

実務(業務)経験の期間のカウント方法はちょっと複雑

「過去5年以内の実務(業務)経験が24か月以上、かつ1920時間」という条件をクリアし続けることが管理者要件となるわけですが、「経験期間の考え方がわからない」「今従事している仕事が実務(業務)経験として認められるのか?」といった疑問がでてきます。

一人前の登録販売者と思っていたら、実は「研修中」の身分だったでは困りますから、「実務(業務)経験」の定義は気になるところです。

基本的に、実経験(もしくは業務経験)とは、医薬品の販売管理に関わった時間を指しますが、どのような業務がそれに該当するかは、企業ごとに判断するケースがほとんどです。勤務時間数がそのまま「実務(業務)経験」とはならないケースもあるので、自身の実務(業務)経験が規定を満たしているのかは不明な人は、遠慮せずに店長や上司、本社などに確認しておきましょう。

また、人手が足りない他店への応援として、臨時での別の店舗に出勤するケースも良く見聞きしますが、従事登録していない店舗での業務時間はカウントされません。また、複数店舗での従事登録も、同じ会社の店舗なら可能ですが、2つ以上の都道府県において従事登録を申請することはできません。

社内の異動などで医薬品販売の業務から離れた期間や、休憩時間や有給休暇、薬事に関する業務以外の勤務時間も、実務(業務)経験としてカウントできないので注意しましょう。

離職期間は3年以上空けないのがベスト

管理者要件を満たす登録販売者が、出産や育児、介護などで離職し、その後、復職する場合にも注意が必要です。仮に4年間離職すると、復職した際にその時点での「過去5年以内に24か月以上」という管理者要件を満たすことができなくなります。

再び管理者要件を満たす登録販売者に戻るまでの間は、「研修中の登録販売者」となってしまいます。

管理者要件を満たす登録販売者の離職期間が3年以内の場合は、復職時点でも業務経験の要件を満たすことができます。離職期間が3年を超えると、復職後に研修中の期間が生じてしまうため、将来的に正規の登録販売者としての復帰を希望する場合は離職期間を3年以内に留めることが重要です。

 

登録販売者の「区分」とは?

登録販売者の試験に合格すれば、すぐに一人前の登録販売者というわけではありません。一定要件を満たすまでは「研修中」なので、実務(業務)経験の規定を押さえておきましょう。

管理者要件を満たすまでは「研修中」

登録販売者は、「管理者要件を満たす登録販売者」と「管理者要件を満たさない登録販売者」に区分されます。一定期間の実務(業務)を経験することで管理者要件を満たす登録販売者となることができます。それまでは、「登録販売者(研修中)」といった名札をつけることになります。

登録販売者試験に合格しただけでは、正式な登録販売者となることはできません。合格者は、店舗での販売従事登録を行って初めて「登録販売者」となり、登録をしていなければ「一般従事者」として実務に従事することになります。

なお、登録の届け出は勤務先の都道府県に行うもので、実際に就職する店舗が決まっていないと提出できませんので注意してください。(たとへば大阪府の試験に合格した場合でも、就職先が兵庫県なら兵庫県に提出することになります。)

また、販売従事登録をする前の仕事の経験を「実務経験」といいますが、登録後の登録販売者(研修中も含む)の経験は「業務経験」と呼びます。企業によっては、研修期間が終了するまで販売従事登録を行わないこともあるようです。一般従事者として実務に従事していれば、「実務経験」として認められます。

新たに働き始める人も、すでに業務に従事している人も、実務(業務)経験が過去5年以内に24ヵ月以上、かつ過去5年間において合計1920時間以上になると、「実務(業務)従事証明書」が申請できます。

これは、一人前の(研修中でない)登録販売者であることを認める証明書で、店舗管理者として自立して働くために必要なものです。

薬事に関する業務に従事した時間は日々記録する必要があるため、一般従事者として実務経験等を積みたい場合は、その旨をあらかじめ会社に申し出ておきましょう。実務従事証明書を発行する時にその記録が必要となります。

登録販売者の区分

実務(業務)経験として認められる業務

  • 主に一般用医薬品の販売等の直接の業務
  • 一般用医薬品の販売時の情報提供を補助する業務、またはその内容を知ることができる業務
  • 一般用医薬品に関する相談があった場合の対応を補助する業務、またはその内容を知ることができる業務
  • 一般用医薬品の販売制度の内容等の説明の方法を知ることができる業務
  • 一般用医薬品の管理や貯蔵に関する業務
  • 一般用医薬品の陳列や広告に関する業務
  • 薬剤師または登録販売者の管理・指導のもとでの業務

販売従事登録に必要な書類

  • 販売従事登録申請書(各都道府県薬務課窓口、ウェブサイト、保健所で入手可能)
  • 登録販売者の合格通知書
  • 使用関係を示す書類(雇用証明書など)
  • 戸籍謄本、戸籍抄本または戸籍記載事項証明書(発行から6か月以内)
  • 医師による診断書(診断日から3か月以内)
  • 登録手数料(都道府県によって金額は異なる)