登録販売者になったらまずやること

多くの新人登録販売者が直面する「実務の壁」。まずは、お店の「取扱商品」「客層」「仕事の流れ」を把握することです。

登録販売者の役割とは?

女性の登録販売者

登録販売者は、一般医薬品を販売する専門職です。その主な役割と仕事の範囲(できること、できないこと)について、あらためて確認しておきましょう。

一般用医薬品の(市販薬)のプロフェショナル

登録販売者の役割りは、一般用医薬品(第2類医薬品・第3類医薬品)の販売・運営管理を行うことです。

食品や日用品とは異なり、医薬品は薬剤師や登録販売者がその店舗に勤務していなければ販売することができません。また、医薬品販売にあたっては、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(旧薬事法:以下、薬機法)によってさまざまなルールが定められています。

登録販売者はドラッグストアなどの店舗販売業では「管理者」になることができます。医薬品の安全な提供ができない事由が発生した場合には、管理者は店舗販売業者(企業側)に対して、その改善の要求をすることもあります。

また、医薬品による副作用が発生した際には、その旨を国へ報告する義務もあります。登録販売者には店舗管理やお客様の安全を守る責任があるということです。そうした意味では、企業に雇用される立場であっても、一定の責任を負っており、一般的な従業員とは立ち位置が少し異なるといえるでしょう。

医薬品の安全性を確保し、一般の消費者が正しく医薬品を使用できるようサポートすることも、登録販売者の重要な役割です。具体的には、お客様に薬を販売するだけでなく、薬や健康に関する情報提供、商品や売り場の管理、時には販売後のフォローをすることもあります。

また、症状が重いケースや、市販薬では対応できないケースもあります。お客様の状態を見極めて医療機関の受診を促す、いわゆるトリアージや受診勧奨を行うのも登録販売者の大きな役割といえます。

登録販売者が取り扱う第2類医薬品・第3類医薬品における「情報提供」は「義務」ではなく「努力義務」ですが、お客様から説明を求められた時には応えなければなりません。そのためには、実はかなり多くの知識が必要です。

◇登録販売者が販売できる医薬品とは?

薬剤師と登録販売者の違い

◇一般用医薬品の区分

薬の区分

登録販売者の主な役割と仕事の範囲をあらためて確認してみました。参考にして下さい。

登録販売者になってからの困りごと

新人登録販売者に以下の様な共通の悩みがあります。アドバイスをしますので、参考にして下さい。

さまざまな薬

登録販売者になってからの六つの悩み

その1 お客様が話している「症状」がよくわからない!

お客様がどんなお悩みで薬を買いたいのかがわからず、おすすめする商品をえらべません。お薬のことを試験の時に勉強したつもりなのですが・・・。お客様から何を聴き取れば症状の原因を推測できるのかわかりません。

アドバイス:試験で学んだ知識だけでは、十分な接客ができません。接客の基本的なフローを押さえて、経験を積み重ねながら、地道にスキルアップしていきましょう。

その2 自分の見立てが正しかったのか不安になります。

商品をおすすめした後で、「あの商品で大丈夫だったかな?」と不安になることが多いです。自分の見立てが合っているか上司に聞きたいのですが、忙しそうで質問しにくいです。薬剤師不在の店舗で、先輩資格者ともあまりシフトが重ならないので、なかなか聞ける人いません。

アドバイス:先輩や上司に直ぐ相談できない環境は、新人にとって不安ですよね。接客経験は貴重な財産です。後でまとめて質問したり、振り返って勉強できるように、メモを取ったり、ノートにまとめたりする習慣をつけましょう。

その3 薬の飲み合わせに関する相談が苦手です。

病院の薬を服用しているお客様から、市販薬との飲み合わせについて聞かれるのが苦手。添付文書の禁忌の記載があれば「飲まないでください」と言えますが、そうでない場合は薬剤師さんに頼ってしまいます。そもそも登録販売者はどこまでたいおうすべきなのでしょうか?

アドバイス:勤め先に、持病のある方への対応の規定やマニュアルがないか確認しましょう。また、病態の知識が身についてくると、判断に自信が持てるようになるでしょう。

その4 受診勧奨のラインがわかりません。

「忙しくて病院に行けないから市販薬を」というお客様や、「〇〇〇を飲んできかなかったから、他の薬を」というお客様からの相談がこわいです。市販薬で対応可能かどうかの判断に自信がないので、すぐ受診勧奨をしてしまいます。「受診勧奨」と「市販薬での対応可能」の項目がわかるようになりたいです。

アドバイス:「不安なまま商品を進めるのが怖くて受診勧奨」という新人さんは多いです。咳や鼻炎などのカテゴリーごとに、病態や受診勧奨の目安に知識を身につけましょう。

その5 自分の勉強方法でスキルアップできているのか心配です。

接客していて毎日、知識不足を実感します。勤務する会社では、たまにPB商品の勉強会がある程度で、スキルアップをサポートするような仕組みはありません。自分で本を買って独学していますが、この勉強方法が正しいのかどうか気になります。

アドバイス:覚えた知識が直ぐに接客できるような学習の順番を考えてみましょう。知識はインプットとアウトプットの繰り返しで定着します。

その6 会社から推売品やPB商品を売るように言われけど・・・

「〇〇の症状のお客様が来たらこれをすすめて」と推売品やプライベート(PB)商品を売るように指導されますが、それが本当にお客様のニーズに合っているのか疑問に思う時もあります。メジャーな商品を希望するお客様に、推売品やPB商品をすすめるのって難しいですよね。

アドバイス:購入を決めるのはお客様です。PB商品もその他の商品も同じように説明して、お客様に選んでいただけば問題ないでしょう。PB商品をアピールするには、類似商品も含めた知識が必要になるので、商品知識や接客スキルをみがくことにもつながりますよね。

頑張っている登録販売者

今回は、登録販売者になってから共通の悩みのあらいだしとその対応について紹介しました。先は長いのであせらずじっくりスキルアップしていきましょう。

登録販売者資格制度も2020年で12年目になります。

新人登録販売者の現状

はじめに

2009年に誕生した登録販売者資格も、2020年で12年となりました。当初は資格の認知度も十分ではありませんでしたが、最近は登録販売者の存在や役割などについて少しづず周知されてきたと思います。

近年よく聞かれる「セルフメディケーション」という言葉は、一般用医薬品(市販薬/OTC医薬品)やサプリメントを上手に使い、国民の一人一人が自身の食事や運動などの生活習慣を見直しながら、健康管理に積極的に関わることをいいます。

要指導医薬品と第1類医薬品を除く一般用医薬品を取扱う登録販売者は、セルフメディケーションの最前線に立つ専門家でもあります。というのも、市販薬やサプリメントの誤った使用によって健康を害するケースや、受診の機会を遅らせてしまうケースなどもあるからです。市販薬の販売時には、専門家のサポートが不可欠です。

かぜ薬

一方で、登録販売者が働くドラッグストアでは、医薬品やサプリメントの他にも食品、日用品、衛生用品など幅広い商品を取り扱うため、それらの知識も求められます。

日常生活によくある健康相談や、時には介護や育児などの精神的なストレスに関する相談を受けることもあり、地域の健康カウンセラー的な役割を担うベテラン資格者もいたりします。

登録販売者制度ができて12年たったものの、合格後のスキルアップについては、依然として個々の登録販売者に任されているのが実情です。

「お客様からの質問に答えられない」「症状が理解できなくて、どうしたらいいかわからない」と悩む大勢の新人登録販売者がいらっしゃいます。

新人登録販売者は、「接客が苦手」という人が多く、この人たちには共通点があります。それは、健康相談を受けたり薬を販売するにあたって必要な知識が、適切な順序で身についていないということです。

お客様の多くは「症状」を訴えてきますから、商品知識の他に、人体の仕組みや病気のメカニズムに関する知識が重要です。

こうした知識は習得までに時間がかかりますが、学習を進めるうちに、想定外の質問や返答にも落ち着いて対応できるようになります。

笑顔の登録販売者

このように一人前の登録販売者になるためには多種多様な課題があります。

当サイトでは、新人登録販売者を対象にまずやることと覚えることを紹介し、一人前の登録販売者になることを支援していきます。

最後までご覧ください。

なお引用元として仲宗根恵さんの「新人登録販売者便利帳」を利用しています。