医療用医薬品を服用している人からの相談は、ケースごとに対応が異なるので、接客を重ねて知識を増やしていくことが必要です。
会社のマニュアルを確認し、受診勧奨ならきちんと説明する
持病のある人の対応も、新人登録販売者が苦手とするところです。持病といってもいろいろですが、高血圧や糖尿病などの医薬用医薬品を服用している人が、風邪薬を求めてドラッグストアにやって来ることはよくあります。基本的に、医師の治療を受けている人が体調を崩した時は、かかりつけ医を受診するのがよいのですが、「市販薬も病院の薬も同じ薬」と考えて、ドラッグストアに相談に来る人も多いのです。
企業の中には、対応のマニュアルを用意しているケースもあります。「持病のある人へは販売しない」というルールの会社もあるので、勤め先の規定を確認しておきましょう。特にルールがない会社では、登録販売者がその都度判断して対応することになります。
持病がある場合は必ず受診勧奨しなければいけいない、というわけではありません。たとえば、降圧薬を服用している人が風邪薬を買い求めた場合などは、いくつか質問した上で、その人の状態によっては市販薬で対応できることもあります。一つの例としてあげると、次の4つの質問をし、大丈夫だと判断できた場合は販売する。
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しかし、こうした対応をするには、まず持病の病態(この場合は血圧)についてよく知り、病院ではどのような治療や投薬が行われているのかなどを学習する必要があります(登録販売者による医療用医薬品との相互作用についての情報提供は、法的に難しいので行いません。自身が判断するために知識として持っておくということです)。その上で、登録販売者自身の責任において販売を判断するので、新人にとっては非常にハードルが高いです。商品の「添付文書」を読むと、持病のある人でも服用可能かどうかがある程度確認できるので、そうした商品をリストアップしておき、自身を持って判断できない場合は受診勧奨としましょう。薬剤師が常駐している店舗なら、持病のある人への対応を代わってもらうのがベストです。
また、薬と薬の相互作用の他にも、風邪などで体調を崩すことで持病が悪化するケースもあります。
たとえば、糖尿病の治療薬を服用中の人が風邪をひいて食事が摂れないと、血糖値が下がりすぎて低血糖に陥ることがあり、非常に危険です。こうしたリスクを患者さん本人が知らないことも多いため、店頭での注意喚起や情報提供は重要です。過去に市販薬の服用で持病が悪化したことがある人、処方されている薬が数種類ある人、合併症を超えている人などはリスクが高いですから、受診勧奨してください。
その際は、「自信がなくて売れないので医療機関を受診してください」ではなく、お客様が納得できる説明をしましょう。